言語聴覚士インタビュー

「利用者さんの「食べたい」を叶えるために」
〜ゆい訪問看護リハビリステーション 女性STインタビュー
言語聴覚士(ST)/ Instagram担当
30代女性
言語聴覚士としての経験
- 急性期・回復期病院で3年ののち、訪問看護ステーション施設、小児療育施設での経験を持ち、現在はゆい訪問看護リハビリステーション小岩サテライトで活躍する言語聴覚士(ST)。病院時代は成人の失語症や嚥下障害のリハビリテーションに従事し、訪問では成人・小児双方に対応してきた。小児療育での経験を経て、現在は訪問看護リハビリの専門スタッフとして、利用者さん一人ひとりに寄り添う日々を送っている。
在宅STを選んだ理由
リハビリ専門の回復期病院と地域包括の病棟で働いてるときに、週1で訪問看護でバイトしている同僚の話を聞いて、家でのリハビリって楽しそうだなと思ったのがきっかけです。
回復期病棟だと最大1ヶ月しか関わることができません。でも失語症の方は、発症から半年間は不安定で、年単位で機能が向上していくことが多い病気です。6年かけて新聞が読めるようになった、なんてこともあります。
私は失語症の方と関わることが好きです。話すことが好きなので、回復過程を長く関われる在宅がいいなと思ってました。
所長は言います。
「6年かけてって、本人をやる気にさせるのが大変だと思う。傷だったら回復が見えるけど、リハビリは伸び率というか、元気になった感を求められる。骨折だったら歩けたら目標達成できたってわかるけど、STさんの伸びは本当に緩やかに緩やかにだから、諦めちゃう人も多い。でも頑張って長くケアを続けることが重要だから、やる気にさせるSTさんはすごいなと。一緒に行ったときは、利用者さんを褒め殺ししていて、そのテクニックに脱帽でした。」
病院と在宅、食事への向き合い方の違い
病院では主治医の指示が絶対です。「固形物を食べちゃダメ」と言われたら絶対に食べられませんし、ペースト食の指示が出たら、朝昼晩すべてミキサー食しか提供されません。
しかし、「死んでもいいから好きなものが食べたい」という方もいれば、「から揚げが食べたい」けれど食べられるレベルはミキサー食、という方もいらっしゃって、家だとどうしても、医師の指示を守れずに食べてしまう方が多いです。
在宅でも、もちろん誤嚥のリスクや、誤嚥による発熱・肺炎の可能性はしっかり説明します。でも、それで終わりではありません。「どうやったらから揚げっぽいものが食べられるか」を一緒に考えるのが、在宅STの仕事です。
配食サービスには、見た目は本物そっくりだけど、スプーンでスッと切れるような食事もあります。そういった選択肢を提案しながら、患者さんの「食べたい」という気持ちに寄り添っています。

手作りで挑戦、時には失敗も
以前、パーキンソン病の患者さんで、ミキサー食のレベルだけど「ピザが食べたい」と言われた方がいました。介護食でピザの作り方を調べて、ヘルパーさんに食材を買ってきてもらい、私がピザを作って食べていただいたことがあります。
結果は、、、「まずい」「食感がサクサクじゃない」と言われてしまいました(笑)。
また、別のパーキンソン病の方のために、片栗粉でわらび餅風のものを作ったこともありました。でも、味はいまひとつで、召し上がっていただくことはありませんでした。
そんなこともありますが、病院では、NGと言われたらリハビリをするだけで終わってしまいます。でも在宅なら、本人が好きな食べ物をいかに工夫して食べられるようにするか、いろいろ試して一緒にできます。それが在宅の醍醐味だと思っています。

「食べたい」気持ちを否定しない
所長からも印象的な話がありました。
「どうしてもおうちって、食べるものがあるんですよね。仏壇に置いてあるぼた餅を食べてしまった方がいらしたり。でも、そんな時、看護師もリハビリも『そこまで食べたいよね、じゃあどうする?』って考えます。『食べちゃダメ』をあまり言わないですね」
病院だったら「何食べてんの!」と言われてしまいますが、在宅では、食べたいという気持ちに寄り添い、リスクの可能性はあるけれど、「じゃあ、こうしようか」というところにシフトしていきます。ダメダメは絶対ないんです。食べることは生きるための楽しみですから。

ゆいの内部連携の強み
嚥下の患者さんの場合、STが評価して少しずつ食べ始める際に、「この角度で、一口このくらいの量で、何分以内で」といった具体的な指示を、食事介助する看護師に伝えます。
失語症の方には、ごはんの絵カードやトイレの絵カードなど、コミュニケーションツールを用意して、「こういうふうにしゃべると、こんなふうに反応する」といった情報を看護師と共有します。
ゆいでは、STと看護師が対面で情報を共有するため、連携がとてもスムーズです。
所長はこう語ります。
「STさんに姿勢表を作ってもらって、『この角度でこういうふうに食べさせてください』というのを、まず専門知識がある私たちがやってみる。それができなければ、ヘルパーさんにやってもらうのは難しいよねってなる。実際やってみて、『もうちょっと簡単にできない?』とSTさんに相談します。看護師は橋渡し的な役割かなと。家族が忙しそうだとか、実際の現場の様子をSTさんに伝えたりもします」
同じ利用者さんのところに連日入っているわけではないので、回数が多く入っている看護師が家族やヘルパーさんへの指導まで行います。チームで落とし込んでいくことが大切だと感じています。

小児の在宅について
私は病院時代、急性期病棟で高齢の方も小児の方にも関わることができましたが、リハビリの回復期病棟では小児に関わることはありませんでした。
今ゆいでは、高齢の方より小児の方との関わりが多いのですが、難しいケースがあった時は、自分でSTサロンに入って勉強しているので、随時ベテランの方に質問を投げかけて教えてもらっています。
小児は敷居が高くて、難しいイメージがあります。そのひとつに、家族との関係性があげられます。「周りの子はできているのに、うちの子だけができていない」と涙を流されるお母さんや、発達表を見て「うちの子はどうなんですか」と繰り返し尋ねてこられるご家族の方の気持ちを汲み取り、対応していくことがとても重要になります。
小児は最初できないことが多い分、リハビリによってできることがどんどん増えていくので、とてもやりがいを感じています。

在宅に向いているSTとは
病院がNGで終わらせることを、NGで終わらせないのが在宅です。
試行錯誤してやり続けることができる人がいいのかなと思います。「どう工夫したらこれ食べられるか」「今の段階でこれでもっと頑張れば、もっと別の目標に行けるかも」と工夫しながら、続けることができる人の方が向いていると思います。
応募する女性STへのメッセージ
訪問看護にSTが来るのは敷居が高いと言われます。だいたい1人しかいないことが多く、責任の重さから「病院の方がチームでできて、、、」と思う方も多いようです。
また、未経験だと最初のハードルも高いかもしれません。
でもゆいでは、時間が合えば同行もできますし、STだけのLINEグループも作って、拠点が違っていてもそこで質問ができるので、1人で問題を抱え込むことがなくて心強いです。
STサロンにも入っている私の勉強方法も共有しますので、なんでも相談してもらえればと思います!
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